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無期限先物 DEX のしくみ · 無期限先物 · 1/4

無期限先物とは

暗号資産の市場に少しでも触れたことがあれば、「perps」という言葉を聞いたことがあるはずです。無期限先物(perpetual contract、perpetual futures)は、暗号資産で最も活発に取引されている商品のひとつです。無期限先物の市場を上場したり運営したりするなら、価格が元の資産にどうつなぎ留められているのかを、正確に理解しておく必要があります。

従来の先物のおさらい

伝統的な金融では、先物とは、決まった日に決まった価格で資産を買う(または売る)約束です。たとえば 2026年6月限の BTC 先物なら、6月になったら決めた価格でビットコインを買う(または売る)と約束することになります。

従来の先物の主な特徴は次のとおりです。

この満期の仕組みには手間がかかります。乗り換えを管理し、限月を切り替えるたびにスプレッドの費用を払い、限月ごとに流動性が分かれることにも対処しなければなりません。

無期限先物: 満期がない

無期限先物は、満期をなくすことでこの問題を解決しました。無期限先物には満期日がありません。ポジションはいつまでも持ち続けられます。BTC-PERP を買えば、自分で決済する(か清算される)まで買いのままです。乗り換えも、決済日も、限月の移行もありません。

無期限の先物という考え方は、経済学者のロバート・シラーが1990年代初めに提案しました。暗号資産で広めたのは BitMEX で、2016年の XBTUSD perpetual swap がきっかけです。今では暗号資産のデリバティブで最も大きな商品になっています。

つなぎ留めの問題

ただ、満期をなくすと新しい問題が生まれます。無期限先物の価格を、元の資産の現物価格にそろえておくものは何でしょうか。

従来の先物では、満期の収束が価格を現物に合わせます。6月限が $62,000 で取引され、BTC の現物が $60,000 なら、裁定取引をする人は満期までに差が縮まると分かっているので、それに沿って売買します。

満期がなければ、自然に収束する仕組みもありません。何かが引き戻さないかぎり、無期限先物の価格は現物からいくらでも乖離しえます。

3つの価格: インデックス、オラクル、mark

つなぎ留めの仕組みに入る前に、取引所は価格を1つだけ見ているわけではない、という点を押さえておきます。

オラクルが間違っていたり、簡単に操作できたりすると、その上に乗っているもの、つまり資金調達料、清算、損益もすべて間違います。だから、市場を運営する人の最初の責任はオラクルの設計なのです。

資金調達料: 目に見えないつなぎ留め

ここで出てくるのが資金調達率です。無期限先物を現物につなぎ留める仕組みで、無期限先物の市場で最も大事な考え方と言ってよいでしょう。

資金調達料は、買い手と売り手の間で定期的にやり取りする支払いです。

中央集権型の取引所の多くは8時間ごとに資金調達料を精算します。Hyperliquid と dYdX は1時間ごとです。率はプレミアムやディスカウントの大きさに応じて大きくなります。無期限先物がインデックスから離れるほど、資金調達料の支払いも大きくなります。

無期限先物が主流である理由

無期限先物が好まれるのには、いくつかの理由があります。

  1. 資金効率: 想定元本の全額ではなく、証拠金だけを差し入れます。BTC-PERP を10倍で買えば、資金の10%だけで10倍の値動きを得られます。
  2. 満期の管理が要らない: 証拠金の管理は要りますが、乗り換えは要りません。
  3. 流動性が集まる: 全員が同じ契約を取引する(限月ごとに分かれない)ので、流動性が1か所に集まります。
  4. 売りが簡単: 売りは買いと同じくらい簡単です。元の資産を借りる必要はありません。

DEX の無期限先物

Binance のような中央集権型の取引所では、無期限先物は、資産を預かる信頼された仕組みの中で動きます。分散型の無期限先物取引所は、同じ商品をチェーン上に載せ、次のものを加えます。

これまでの弱点は性能でした。チェーン上の処理は、中央集権型のマッチングエンジンより遅いのです。専用に作られたチェーンが、この差を縮めてきました。Hyperliquid は、同じ場所にサーバーを置いたクライアントの場合、注文の端から端までの遅延の中央値がおよそ0.2秒だと公表しています(HyperCore の概要)。

次の回では、資金調達率を詳しく見ます。すべてを動かす仕組みであり、市場の運営者が正しく決めなければならない主な設定のひとつです。