Day One — Fabrknt Labs
上場したばかりの HIP-3 の銘柄を、板が薄いことにつけこまれずに初日から取引できるようにするための研究です。製品ではなく、参照のための実装です。
調べていること
初期の流動性
空から始まり、トレーダーの損失と手数料で積み上がり、板が十分に厚くなったら役目を終える相手方のプールです。
価格の異常
HL Price Guard が価格を拒んでいる間は、約定も清算も待たせます。直前に受け入れた価格からの急変、板とのずれ、外部の参照価格とのずれが対象です。
露出の上限
建てる側と閉じる側のそれぞれに、板の厚さから決めた1分あたりの上限をかけ、差し引きの建玉にも上限をかけます。
損失を誰が負うか
負けた人には損失の12%に当たる価値のプールの持分を渡します。勝った人は利益の一部をプールに残します。値動きが小さいときは30%、価格が1%動くと15%まで下がります(Papertrade と同じ考え方です)。報酬は最も低い取り分よりも小さく保つので、自分の2つの口座で売り買いすると、どの大きさでも損になります。報酬の発行は大きな損失でも減らしません。プールは板が十分に厚くなるまでの期間限定なので、薄まりにも終わりがあるからです。
わかったこと
228件の建玉を再現すると、板ではなくオラクルで決済しても抜かれる額は15%しか減りませんでした。押し込みに合わせてオラクルも動いていたためです。1分あたり $3.3M の露出上限なら、得られる額は約 $55K と見積もられ、押し込みにかかった $130,873 を下回ります(事故時の平均的な取り分を当てはめ、押し込みのコストが Papertrade と同じだと仮定した推定で、上限の保証ではありません)。
最初の誤ったオラクル更新(-15.6%)のあと、価格は1%ずつ下がりました。直前の価格とだけ比べる検査はそのうち39回を通してしまいます。最後に受け入れた価格を保ち続ける方式なら1回も通さず、2分12秒止まります。
2026-10-16(金、UTC)の米国市場の取引終了後に板の厚さから測ると、安全な決済の速さは xyz:TSLA で1分あたり約3万ドル、xyz:SKHX で約1.6万ドルでした。そのとき xyz:SKHX には3.76億ドルの建玉がありました。米国の取引時間中の計測はこれからです。
いまの状態
- HyperEVM の testnet に、xyz:TSLA を対象としてテスト用の USDC で配置しています。mainnet には配置しておらず、監査も受けていません。トレーダー向けに提供していません。
- HL Price Guard はタグの付いた版(v0.2.1)に固定して使っています。運営者に具体的な必要があるときに進めます。たとえば、板が薄いところから始まる新規上場や pre-IPO の銘柄です。該当する方は運営準備レビューからご連絡ください。
どう確かめたか
コントラクトは独立したレビューを7回受け、最後の回では新たな指摘はありませんでした。keeper と導入スクリプトも別にレビューを受けています。指摘はまず「欠陥があるときだけ通るテスト」で示し、直したあと同じテストをもう一度流しています。
会計と持分の値付けの欠陥を見つけて塞ぎました。ある人の含み損が別の人の含み益と相殺されてしまう問題や、自分を相手に売り買いして先にいた持分の保有者から価値を抜ける問題、約定待ちの注文の手数料を当て込んで持分を受け取る問題、パラメータ変更をまたいで古い取り分と新しい高い報酬を組み合わせる問題などです。いまは、持分はその時点の建玉と約定待ちの注文から到達しうる最大の価値で値付けし、払い戻しは控えめな評価で行います。
運営準備レビュー
HIP-3 の市場をこれから開くチーム、すでに運営しているチームのためのレビューです。公開の記録で HIP-3 の運営者に実際に起きたことと照らして体制を確かめ、確かめられなかったことも書きます。