HIP-3 市場の運営 · 第1回(全5回) · 3 分
運営者は何を引き受けるのか
HIP-3 では、十分な HYPE を預けた人なら誰でも、Hyperliquid の上に自分の無期限先物市場を開けます。板、売買の突き合わせ、証拠金、清算は Hyperliquid が動かします。市場として成り立たせるものは運営者が用意します。何を上場するか、数秒ごとの価格、そして上限です。この回は、その役割分担と、引き受けることになる約束についてです。
差し出すもの
- 500,000 HYPE を預ける(ステーク)。dex を開いてから少なくとも183日は引き出せません。引き出しにはさらに7日かかり、その間も没収(スラッシング)の対象です。
- 預けた HYPE は、市場の運営ぶりに対する担保になります。没収はバリデーターが預け高に応じた投票で決めます。不正な状態遷移や長い停止なら最大100%、短い停止なら最大50%、性能の低下なら最大20%です。
- 4つ目以降の市場にはオークションが要ります。最初の3市場は不要です。それ以降は、HIP-1(トークンの上場)と同じ設定のダッチオークションを通します。
運営者が決めること
どれも、運営者の鍵で署名してチェーンに送る操作です。名前は、公開の記録で実際に見つかるものを書いています。
| 決めること | 操作 | 頻度 |
|---|---|---|
| 価格(オラクル、運営者の mark の入力、外部の参照価格) | setOracle | 数秒ごと。市場があるかぎりずっと |
| 各市場が抱えてよい建玉の上限 | setOpenInterestCaps | 需要や流動性が変わるたび |
| レバレッジと証拠金の表、分離証拠金のみかクロスか | 上場時 | まれ |
| 運営者の手数料の取り分、資金調達料の倍率 | deploy の設定 | まれ |
| 決済に使う通貨(担保) | deploy 時 | 実際には1回 |
| 市場を止めて清算する | haltTrading | 問題が起きたとき、または終わるとき |
| どの鍵に何を任せるか | サブの deployer | 体制が変わるとき |
Hyperliquid が決めること
- mark が動ける速さ。1回の更新で最大1%、更新の間隔は2.5秒以上です。10秒間何も送らないと、Hyperliquid は自分で計算した mark に切り替えます(BlockSec)。
- 清算、最終決済(backstop)、ADL。規則は Hyperliquid のもので、どこで発動するかは運営者のレバレッジの設定で決まります。第4回で、実際の1日を使って見ていきます。
- クロス証拠金を使えるかどうか。バリデーターが判断します。1日に50%を超えて動く銘柄は対象になりません。
記録から
2026年7月27日の 22:57〜23:05 UTC、trade.xyz のオラクル用の鍵は、1つの市場だけで144回の価格を送っていました。ほぼ3秒に1回です。1回ごとに、オラクル価格、mark の入力2つ、外部の価格が入っています。これが仕事の中身です。1つの鍵が、昼も夜も数秒ごとに価格へ署名し続け、その後ろに 500,000 HYPE が控えています。
1回ずつの更新は、SK Hynix 清算の秒単位の記録で見られます。
始める前に
- すべての市場について、10秒の空白を作らずに、正しい価格を数秒ごとに送り続けられますか。
- 夜中の3時に価格の元が止まったら、誰が、どれくらいの速さで起きて対応しますか。
- 出来高が育つまでの間、500,000 HYPE を半年間動かせないまま持ちこたえられますか。
次回: 実際にこれをやった人たちと、その多くがやめた理由。