HIP-3 市場の運営 · 第4回(全5回) · 3 分
リスクの上限の決め方
口座が危なくなる時点は、価格が決めます。危なさがどこまで大きくなり得るかは、運営者の決める上限が決めます。この回は、運営者が決める上限、それと組み合わさって働く Hyperliquid の清算、そして板が実際に吸収できる量に合わせた上限の決め方です。
運営者が決める上限
- 最大レバレッジと証拠金の表(市場ごと)。維持証拠金もここで決まり、最大レバレッジでの初期証拠金の半分です。10倍なら初期証拠金は10%、維持証拠金は5%です。
- 建玉の上限(市場ごとのドル建て、
setOpenInterestCaps)。dex 全体の上限もあります。 - 分離証拠金のみの市場。クロス証拠金を受け付けない市場にすれば、そこでの損失が、その人のほかの建玉にまで及びません。
口座が線を越えたとき Hyperliquid がすること
- 板での清算。口座の額が維持証拠金を下回ると、建玉は板に出されて決済されます。
- 最終決済(backstop)。板で吸収しきれず、口座の額が維持証拠金の3分の2を下回ると、建玉は最終決済で引き取られます。
- ADL(相手側の自動決済)。それでも足りなければ、反対側で利益の出ている建玉が当てて決済されます。
記録から: SK Hynix、2026年7月27日、1口座ずつ確かめた結果
- 最終決済:422件すべてで、口座に残っていた額は建玉の2.31〜3.32%でした。線の3.33%(10倍での維持証拠金5%の3分の2)を下回っています。
- 板での清算:その日の朝から建玉が変わっていなかったロング432口座のうち、427口座は清算の時点で維持証拠金を下回っていました。残りの5口座はその日にほかの市場で売買していて、この方法では判定できませんでした。
- ADL:23:01:09 の1つのブロックで、ショート100口座が決済されました。
- 市場をまたぐ影響:一元化された口座(unified)では、担保が市場をまたいで共有されます。その日 HYPE は $59.6 から $56.2 に下がり、その損が一部の SK Hynix の口座を早めに線の下へ押しました。
規則は守られていました。被害の元は、価格(第3回)と、薄い市場に積み上がっていた建玉の量です。
確かめた結果は事故の記録のページにあります。
板に合わせて上限を決める
上限は「一度にどれだけまずいことが起き得るか」についての約束です。役に立つ物差しは、建玉を、価格の上下5%以内に並んでいる注文(買いと売りの薄い方)と比べることです。20倍を超えると、建玉のわずか5%を一度に決済するだけで価格が5%以上動きます。小さな清算の波が、自分で次の清算を呼ぶ状態です。
記録から: リスク設定の通信簿、2026年10月16日
- 4つの運営者の162市場のうち12市場で、建玉が上下5%以内の板の20倍を超えていました。最大は305倍です。
- ある未上場株の市場では、上限が2か月で20回引き上げられ、$3M から $55M になりました。その時点で建玉は上下5%以内の板の69倍でした。
すべての市場と上限の変更は、リスク設定の通信簿で見られます。
始める前に
- 市場ごとに、上下5%以内にどれだけの板を見込むかを書き出し、最初の上限は需要ではなくそこから決める。
- 参照価格が薄い、または公式でない市場は、低いレバレッジと分離証拠金のみにする。
- 上限を上げる前に満たすべき条件を先に決めておく。板の厚さ、マーケットメイカーの数、事故のない日数など。
- 建玉を上限と板の両方に対して毎日見る。hip3-ops の
scorecardとwatchは、これを公開データだけで行います。
次回: どの鍵を誰が持つか、誰が待機するか、そしてうまく止める方法。